『英語散歩』「述語動詞」の話
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2020-04-09
ブログ
≪藤原真学塾≫ニュースレター2020年4月号内のコラム「英語散歩」を転載します。
「述語動詞」の話
今(2020年3月末)、中3生に文型の練習問題をしてもらっています。高校英文法の基礎の基礎です。これと8品詞が分からないと、高校英文法が理解できなくて、丸覚えをする羽目になり、結果覚えきれなくて、文法は無理!となってしまう高校生が山ほどいます。そうならないために、今新しく練習問題を作りみんなにやってもらっています。過去には、「5文型と8品詞」に関する説明の文章を何度も作りました。パソコンの中にたくさん残っています。それを一度読んで理解できる生徒も確かにいます。しかし、それは希な例です。ですから、そのアプローチはやめにして、説明は少なめで、問題を解いて覚えてもらう方向に切り替えて、問題作りを進めています。出来上がった分からやってもらっています。
文型を決めるのは動詞です。動詞が目的語や補語をとるのかどうかと言うことが分かれば文型が分かります。ただし、目的語や補語になるものがどんなものかも知る必要があります。ただし、今回お話しするのは、そのことではありません。動詞とは何かという根本問題についてお話ししたいと思います。
「次の文の主語と動詞に下線を引き、その下にそれぞれS、Vと書きなさい。」という問題を高校英語の最初の頃にご覧になったと思います。その際、普通の文(肯定平叙文)はいいのですが、疑問文や否定文になると、動詞はどこに線を引けば良いのか迷ったものです。先生に聞いてもあやふやです。私自身、教え始めて長い間あやふやでした。1語に下線を引くのか、2語、3語にするべきなのかよく分からなかったのです。
しかし、今ははっきり答えられます。そのことをお話ししようと思います。
先ほどの問題での、「動詞」とは、「述語動詞」のことです。「主語」に対する「述語」。その述語の中心になるのが「述語動詞」です。「動詞」という場合は、「述語動詞」という意味で、述語になっていないものは動詞と呼べないのです。「現在分詞形」、「過去分詞形」が単独で使われているときは、述語動詞にはなりません。例えば、
The castle made in medieval times are strong.では、主語castleのすぐ後ろにmadeがありますが、これは動詞ではありません。makeの過去形と過去分詞形は共にmadeです。過去形なら「作った」、過去分詞形なら「作られた」の意味になります。城が何かを「作る」のではなく、城は「作られた」のだから、このmadeは過去分詞形だと分かります。過去分詞形は、一語では述語動詞になれません。
一語で、述語動詞になれる形は、現在形と過去形のみです。また、動詞の種類には次のものがあります。一般的に動詞といっている語を、特に他のものと区別して呼ぶときの呼び方で、「本動詞」と言う呼び方があります。「本動詞」以外に、「助動詞」と「代動詞」があります。
Do you like English?
― Yes, I do.
― No, I do not.
上の文中には3つのdoが出てきましたが、上から順に「助動詞」、「代動詞」、「助動詞」です。一番上は、一般動詞の文で、疑問文を作るための助動詞です。一番下は、一般動詞の文で、否定文を作る助動詞です。真ん中は、一般動詞の文で、前文の動詞以下の部分を受けてその代わりをする動詞、つまり代動詞です。
Yes, I do.はYes, I like English.のことで、like Englishと言う代わりに、doで済ませたものです。また、No, I do not.はNo, I do not like English.という文のlike Englishを、繰り返しを避けるために省略したものです。ですから、このdoは、否定文を作るための助動詞になります。ここで結論です。『一語で述語動詞になれるのは、「本動詞」と「代動詞」の「現在形」と「過去形」だけです。』
助動詞は、実は3つに大別できます。先ほどの例の、疑問文、否定文を作る助動詞do, does, didの3つと、意味をつけ加える助動詞、will, shall, can, may, must, needなどと、3番目に、みなさんがあまり助動詞としての認識のない助動詞があります。それは進行形や受け身のときのbe動詞と完了形のhave, has, hadです。ほかにも2語で助動詞の働きをするhad betterやought toなど語もありますが、割愛します。
動詞の「現在形」「過去形」しか1語で述語動詞になれないと言いましたが、では、それ以外にどんな形があるのか説明します。動詞には活用があり、原形、現在形、過去形、現在分詞形、過去分詞形があります。また、動詞は不定詞にもなります。不定詞には、「to+原形」の「to不定詞」と「原形」だけの「原形不定詞」があります。原形不定詞として、高校で習う形は、「使役動詞or知覚動詞+目的語(人)+原形不定詞」の形で、使役動詞の場合は「人に~させる」、知覚動詞の場合は「人が~するのを知覚する(見るなど)」の意味になります。しかし、実際には、英文中のすべての原形(命令文は除く)が、原形不定詞なのです。つまり、先の例文の Do you like English?のlikeや、
Can you speak English?のspeakも原形不定詞というわけです。ですから、これらの文で動詞を指摘するときは、likeやspeakを単独で動詞として指摘することはできません。原形不定詞は不定詞であって、単独で述語動詞にはなれないものだからです。必ず助動詞のDoやCanと共に指摘する必要があります。また、進行形、受動態、完了形の場合も同様にbeやhaveと共に指摘する必要があります。分詞も助動詞のbeやhaveを伴えば述語動詞になることができます。
最初に、1語で述語動詞になれるのは、「現在形」と「過去形」だけといいました。命令文は「仮定法」、「直説法」、「命令法」の分類の中の「命令法」の文です。この場合、原形で「述語動詞」ということになりますが、「命令法」は主語がないので、厳密には述語という概念がないので(述語は主語に対する概念)、原形1語で「動詞」と呼べますが、「述語動詞」とは呼べないでしょう。(このことに付き、詳しくご存知の方がいらっしゃれば、ご教授願えれば幸いです)
She does not know him.
Can you sing well?
He is playing tennis.
Was the cake made by her?
He has gone to Hawaii.
動詞を指摘する場合には、上の文のように、下線を引いた部分を指摘しなければなりません。助動詞、原形不定、現在分詞、過去分詞は単独では述語動詞になれず2語以上のセットで述語動詞としての働きができるからです。
単独で使われている現在分詞、過去分詞は動詞ではなく、形容詞または副詞として使われているので指摘してはいけません。その場合、文中の他の場所に必ず動詞が存在します。
「動詞=述語動詞」は、現在形、過去形では1語、それ以外の時制、受動態では2語以上になります。(完)